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概要

Julia は2018年にバージョン1が公開されたオープンソースの科学技術計算言語で、 Fortranの様に高速でかつPythonの様に生産性の高い言語である [リンク]。 Julia は様々な分野において活用が始まっている。 本研究会では、主に基礎科学においてのJulia の使用例などを議論する。 また可視化、高速計算、微分方程式の数値解法、統計・機械学習分野への応用例や実装例、パッケージ開発も議論の対象とする。 研究機関に所属する研究者だけでなく産業界での研究者、学生などの積極的な参加を歓迎する。

日時

2023/7/10(月), 11(火), 12(水)

  7/10(月) 7/11(火) 7/12(水)
10:00 - 10:50 - 横山俊一 品岡寛
10:50 - 11:10 - 休憩 休憩
11:10 - 12:00 - 堀川由人 富谷昭夫
12:00 - 13:30 - 昼休憩 昼休憩
13:30 - 14:20 チュートリアル 永井佑紀 全体総括
14:20 - 14:40 休憩 休憩 休憩
14:40 - 15:30 チュートリアル 降籏大介 自由討論*
15:30 - 15:50 休憩 ライトニングトーク  
15:50 - 16:40 チュートリアル ポスター* 自由討論*
16:40 - 17:00 休憩 ポスター* 自由討論*
17:00 - 17:50 自由討論* ポスター*  
    懇親会*  

場所

九州大学伊都キャンパス マス・フォア・インダストリ研究所(ウエスト1号館)
IMIオーディトリアム(D-413) アクセスマップ

スケジュールの*印以外、原則ハイブリッド開催の予定です。 *は現地のみの予定です。

重要な日時

プログラム

招待講演者による講演のほか、ポスター講演も募集予定です。 入門的なチュートリアル講演も予定されています。 詳細は追ってホームページ上で連絡します。

チュートリアル講演

Julia 入門

招待講演

BasicBSpline.jl で始める B-spline

応用数学の概念を用いた物理モデルをいかに Julia でプログラミングを行うか

Juliaと量子多体計算:スパースモデリングからQuantics Tensor Trainまで

[1] H. Shinaoka, J. Otsuki, M. Ohzeki, K. Yoshimi, PRB 96, 035147 (2017); H. Shinaoka et al., SciPost Physics Lecture Notes, 063 (2022). [2] M. Wallerberger, S. Badr, …, H. Shinaoka, SoftwareX 21, 101266 (2023). [3] I. V. Oseledets, Doklady Math. 80, 653 (2009); B. N. Khoromskij, Constr. Approx. 34, 257 (2011). [4] N. Gourianov et al., Nat. Comput. Sci. 2, 30 (2022). [5] H. Shinaoka et al., Physical Review X 13, 021015 (2023).

口頭発表

数論における Julia の援用

Juliaによる科学技術計算:大規模並列計算について

素粒子物理におけるJuliaの活用~格子QCDの大規模計算に向けて~

ポスター講演募集(終了しました)

ポスター講演を募集いたします。 分野は問わず、一部にでもJulia(可視化や解析等)を使っている方であれば誰でもウェルカムです。パッケージ等の作成でも良いです(例: Juliaを使った開発でも可)。必ずしも新規の研究成果は求めません。ただし会場のキャパシティの問題もあるので、想定する人数を超えた場合、世話人により選考を行います。 外部資金を持たない方(学生等)は旅費の補助が可能(人数の制限あり)です。

ポスターアブストラクト

  1. 吉井真央 (東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻)
    タイトル:Mint.jlの実装
    概要:PythonやC++などの言語と異なり自動的にmodを取って計算するmintは現在juliaに実装されていない。そこで発表者はModInt.jlを開発し、その仕様と使用例について紹介する。

  2. 大野 周平 (横浜市大D1, 理研JRA)
    タイトル:少数多体系物理におけるJuliaの活用
    概要:発表者は横浜市立大学・量子物理化学研究室と理化学研究所・少数多体系物理研究室の両研究室に所属し, 少数多体系物理学の観点から分子を対象とした共同研究を遂行している. 我々の計算では, 一般化固有値問題を解くために標準ライブラリであるLinearAlgebra.jlを用いており, 変分パラメータの最適化にOptim.jl, 可視化にPlots.jlを用いている. その他にも, 過去に開発されたFortranのプログラムを呼び出すためのインターフェースを実装, 運用するなど, 様々な場面でJuliaを活用している. 当日は主に発表者が卒業論文および修士論文においてJuliaを活用した事例について発表する. その他, 時間の許す範囲で修士課程在籍時に執筆したJuliaに関連する記事や, 博士論文の執筆に向けて開発を進めているパッケージについて議論する.

  3. 金丸仁明 (東京大学)
    タイトル:小惑星の力学・熱物理シミュレータ「Astroshaper」の開発
    概要:我々は、小惑星の力学や熱物理を取り扱うための数値シミュレーション「Astroshaper」を開発している(https://github.com/Astroshaper)。 開発にはJulia言語を用いて、小惑星の軌道計算、熱物理シミュレーション、重力場計算を行うためのパッケージ群を提供している。例えば、小惑星の熱物理シミュレーションは、小惑星表面の温度分布を計算することで、小惑星探査の観測条件の検討などに用いられている。将来的には、小惑星の熱放射によって生じる摂動を考慮した軌道計算といった連成問題を解けるようにすることを目指している。

  4. 安達佳亮(茨城大学大学院理工学研究科量子線科学専攻)
    タイトル:トポロジカル不変量の数値計算パッケージの開発
    概要:物質の相を特徴づける量の一つにトポロジカル不変量がある。我々はその様々なトポロジカル不変量の数値計算パッケージの開発を進めている。今回はその一つであるBerry位相やChern数などをハミルトニアンから計算するためのパッケージの開発について発表する。

  5. 菅原宏治(東京都立大学システムデザイン学部)
    タイトル:拡張KronigPennyハミルトニアンを計算するパッケージの開発
    概要:1次元KronigPennyモデルのハミルトニアン行列を計算するパッケージを開発公開した。Pluto notebook 上のアニメーションを用いて、井戸/障壁幅比と障壁高さの変化に伴う量子準位の変化を直感的に観察できる。https://juliapackages.com/p/extendedkronigpennymatrix

  6. 金賀 穂(千葉大学大学院融合理工学府)
    タイトル:グラフェンにおける二色レーザーによるDC電流の制御
    概要:固体における非線形光学応答が注目を集めている。例えば、電子系(グラフェンや半導体・モット絶縁体など)やスピン系(反強磁性体・スピン鎖・キタエフ磁性体など)における高次高調波発生(HHG)が精力的に研究されている。HHGを始めとする非線形光学応答の性質は結晶の対称性に大きく左右され、特に空間反転対称性を持つ系では偶数次高調波とDC電流の発生が禁止される。空間反転対称な系において偶数次高調波やDC電流を生成するには何らかの外因的な要素によって動的対称性を破る必要がある。この外因要素を導入することは、最初から空間反転対称性の破れた系を考えるより手の込んだセットアップを要するが、一方、物質を変えることなく偶数次高調波の発生をコントロールできるという利点をもたらす。 反転対称性で禁止された応答を発現させるための有望な「外因的な要素」として、(i)DC電流の印加、あるいは、(ii)2色レーザーの印加が考えられる。最近、我々は(i)に関連する偶数次高調波発生の数値解析を行った。本発表は(ii)の状況において発生するDC電流に焦点を当てる。 以上の背景に基づき、我々は、広いパラメータ領域における2色レーザー誘起光電流を定量的に解析することを目標として、グラフェンにおける2色レーザー光電流を解析した。Julia言語と量子マスター方程式に基づく数値解析から、現実の系で不可避である散逸の効果も取り込んで光電流を定量的に評価した。本講演では、この光電流のレーザー強度・レーザー周波数・偏光度依存性について報告する予定である。

  7. 田中美帆 (茨城大学)
    タイトル:Juliaに基づく散逸ラッシュバ電子系における円偏光誘起磁化の数値解析
    概要:本研究では、典型的な固体系のフロケ・エンジニアリングの1つである金属系における逆ファラデー効果(IFE)、つまり円偏光による励起磁化に焦点を当てる。散逸効果を取り込んだ量子マスター(GKSL)方程式に基づき、2次元ラシュバ電子モデルにおけるIFEを分析する。(i)円偏光レーザーの連続照射によって生成される非平衡定常状態での磁化、および、(ii)円偏光レーザーパルスによる非平衡磁化ダイナミクスの2つの現象に焦点を当て、数値解析と理論解析の両面の研究結果を報告する予定である。

  8. 佐藤宏季 (名古屋大学大学院 理学研究科)
    タイトル:3次元波数空間におけるワイル点の探索方法
    概要:波数空間におけるワイル点は、仮想的に磁気単極子とみなすことができる。磁気単極子の位置と、それが持つ磁荷の値は、ホール伝導度など実際の物理現象に対して重要な役割をはたすため、磁気単極子の位置と磁荷を同定することは重要である。本研究では、その探索方法をJulia言語を用いて作成する。

参加登録

リンク

主催: 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所
共催: 科学研究費補助金学術変革領域研究(A)「学習物理学の創成」
科研基盤研究(C)「Julia言語を用いた新しい計算機数論システムの開発とその応用」

本研究会は2023年度IMI共同利用研究 カテゴリー「数学と物理におけるJuliaの活用」(2023a015)の支援を受けた。